【観察記録】本庁と振興局の“決定的な違い”につきまして

北海道庁

関係者各位

いつも大変お世話になっております。
元道庁職員鈴木邪道でございます。
標記の件につきまして、下記のとおりお知らせいたします。

同じ「道庁」でも、世界がまるで違う

一般の方からすると、北海道庁の職員は「本庁と振興局」で同じ働き方をしているように思えるかもしれません。
しかし実態はまるで違います。
机を並べて仕事をしていても、もはや別の生き物と言っても差し支えないレベルで、世界が違っていました。

私は本庁スタートで、その後〇〇振興局に異動しました。
その経験からはっきり言えるのは、本庁は“政治と調整の渦”、振興局は“現場実務と閉鎖性の迷宮”ということです。

同じ北海道庁という看板を掲げながら、仕事のスピードも空気も、全てが別物でした。

本庁:「政治・予算・議会」に全てを支配される世界

本庁勤務時代、私の毎日は「議会」と「財政」と「国」に振り回されていました。
机の上には資料の塔。
デスクトップのフォルダも“資料(最新)”“資料(最新版)”“資料(本当の最新版)”みたいな現場猫状態。

照会 → 資料作成 → 折衝という名の無駄なやりとり → 答弁作成

この繰り返しです。

公務員の世界では、会議資料を作成するための会議があることについては、以前の記事で紹介しました。


スケジュールの主役は「業務」ではなく、議会日程
議会が動けばすべてが止まり、国が通知を出せばスケジュールがひっくり返る。

特に忘れもしないのが、国の「国土強靭化」の予算措置の際の出来事です。

国の決定が遅れ、道の予算編成が破綻

“3か年緊急対策”が終わり、新しい政策パッケージが出るはずが、国の閣議決定が遅れる。
するとどうなるか?

財政課
財政課

予算編成スケジュールに間に合わない!

知事査定に間に合わない!

どうする気だ!

事業担当課
事業担当課

せっかちだなあ。財政は待てよ。

国

いや、もうこれでやるから。財源つけてね。

最終的には、国が財源を付けた以上、自治体は従うしかないわけで、やることは最初から決まっているのに怒られるのです。
全方位から怒られ、しかも逃げ道がない。
本庁とは、そういう場所でした。

振興局:“地域密着”ではなく“閉鎖的なムラ社会”

次に異動したのが〇〇振興局。
世間のイメージでは“地域に寄り添う、現場型の職場だと思うかもしれませんが、私の実感は全く逆でした。

閉鎖的で、他人に興味がない

まず、人間関係が極端に閉じていました。
誰が同期で誰が同い年かも分からず、若い職員が一人でぽつんとしていても、誰も声をかけない。
2年以上同じフロアで顔を合わせているのに、まったく交流がない。
“地域密着”どころか、自分の係以外に興味すらないように見えました。

行事は多いが、協力は少ない

“現場中心”と言われますが、私がいた〇〇課・〇〇係の実態は違いました。
会議、行事、来客対応がひっきりなしに詰め込まれ、しかも災害が起きれば一気に優先度がひっくり返る。

象徴的だったのは、防災訓練の準備です

  • 訓練企画
  • 資料作成
  • 市町村との調整
  • 消防や自衛隊との段取り
  • 当日の運営

これらが全部、〇〇係に丸投げ
他の人は「ふーん」という感じで完全に他人事。
終わったら「ああ、良かったね」程度。

さらに悪いのは、こういう行事は少々の災害があっても止まらないことです。
やる意味が分からない案件が次々と積み上がっていく。

振興局で見た“情報の闇”

最も驚いたのは、情報の不整合の多さでした。

データはないのに、決裁文書だけ残っている

例えば、自衛隊派遣要請の決裁文書が保存されているのに、その根拠となったメモや記録が一切ない。

主幹
主幹

要請のロジックを説明しろ。

係長
係長

知らーん。そんなの残ってないよ。

鈴木邪道
鈴木邪道

当時の記録は残っていないみたいなんです。

主幹
主幹

なんで無いんだ!!

鈴木邪道
鈴木邪道

いや、俺にキレられても…。

責任の所在が曖昧で、誰も過去を説明できない。
本庁の非効率とはまた違う、“情報の死”を感じました。

本庁と振興局の“空気”の違い

まとめます。

本庁の空気

  • 政治と財政に振り回される
  • だが情報の中心にいる感覚が強い
  • プレッシャーは凄まじいが、刺激も大きい
  • 結果として調整力と政治感覚が鍛えられる

私にとっては、この“情報の渦”の中にいる感覚が転職した今でも活きています。

振興局の空気

  • 人間関係が極端に閉じている
  • 業務の線引きが曖昧
  • 行事と会議の両立でスケジュールは常に破綻
  • 災害時のストレスが常時つきまとう
  • “地域密着”と言われるが、むしろ“内輪主義”が強い

はっきり言うと、私にとっては本庁よりもしんどかったです。
地方スタートの人たちが「ぬくぬく3年目です」と言っていたあの空気に、私はどうにも馴染めませんでした。

こうした違いは、振興局スタートが圧倒的に多い高卒区分の職員達の空気と重なるところがあるのかもしれません。

どちらが良いかは“性格次第”

本庁は本庁で狂っているし、振興局は振興局で混沌としている。
どちらが楽かと聞かれたら、正直「どっちも地獄です」と答えるしかありません。

ただ、肌に合っていたのは圧倒的に本庁でした。

理由ははっきりしています。

  • 情報の中心で仕事ができる
  • 決裁スピードがまだマシ
  • 上下関係が明確で動き方が読みやすい
  • 政治日程や財政の動きなど、大局が見える

私が尊敬できた道職員も、皆本庁勤めの方たちでした。

振興局で感じた“閉鎖性”や“雑務の押し付け合い”は、残念ながら私には耐えがたいものでした。

本庁と振興局。
同じ北海道庁でも、働き方も空気もまるで違います。
どちらが正しいとか優れているという話ではありません。
ただ、制度も文化も人間関係も、全てが違う。
そしてその違いに気づいたとき、ようやく私は理解しました。

「配属ガチャ」という言葉は、間違っていなかったのだと。

以上、本庁と振興局の違いについてお知らせいたしました。
何卒よろしくお願い申し上げます。

令和7(2025)年12月10日

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北海道庁生存戦略部
異端企画局
内部是正推進課非公式記録整理係
主事 鈴木邪道
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