【考察】高卒道庁職員にみる“平等と格差”の実情につきまして

行政組織・公務員

追記(2026年9月)

本記事は2025年11月29日に、北海道庁で一緒に働いた若手職員との経験をもとに執筆したものです。実名での発信へ移行するにあたり、当時の問題意識を残しつつ、学歴や個人の属性を一括りにして評価しているように読める表現を改め、現在の視点から一部内容を整理・加筆しています。

関係者各位

いつも大変お世話になっております。
元道庁職員の白川部けいたでございます。

標記の件につきまして、下記のとおりお知らせいたします。

「高卒だから不利」とは単純に言えない

世間では、「高卒で公務員になると出世できない」「大卒より大きく不利になる」といったイメージを持たれることがあります。

しかし、少なくとも私が北海道庁で勤務していた範囲では、日常の仕事や職場での扱いが学歴だけで大きく分けられているという印象はありませんでした。

もちろん、採用時の条件やその後の給与、昇任のあり方まで含めて、高卒と大卒が制度上まったく同じだと言いたいわけではありません。

ただ、高卒で道庁に入ることは、北海道で働き続ける一つの安定したキャリアとして十分に成立する選択肢だと思います。

問題は、制度上の差そのものよりも、本人が自分の可能性をどう捉えるかです。

若い高卒職員と働いて感じたこと

私が振興局で勤務していた頃、20歳前後の若い職員と一緒に仕事をする機会がありました。

高校を卒業して間もない時期に行政組織へ入り、住民対応や庶務、各種の調整事務を担う。社会人経験の長い職員と同じ職場で仕事をしていること自体、考えてみればかなり大きな環境変化です。

私の周囲にいた若手職員は、与えられた仕事を丁寧にこなし、真面目に働く人が多かったと記憶しています。

一方で、判断に迷う場面や、前例のない仕事に向き合う場面では、経験の少なさが表れることもありました。

しかし、それは学歴の問題というより、単純に社会人としての経験年数の問題だったのだと思います。大学を卒業して入庁した職員であっても、最初から行政判断や調整が上手にできるわけではありません。

当時の私は「高卒職員」という括りで見ていた部分もありましたが、今振り返れば、若い職員を育てる仕組みや、経験を積ませる職場環境の方が重要な論点だったと感じています。

「高卒だから転職できない」という思い込み

私が道庁から民間企業への転職を考えていた頃、何人かの若手職員と進路について話したことがあります。

その中で印象に残っているのが、「自分は高卒だから、民間に出ても通用しないと思う」という趣旨の言葉でした。

私は、それを聞いてもったいないと感じました。

道庁で実際に仕事を任され、住民や関係機関とやり取りし、期限を守って事務を処理している。それだけでも、職務経験として積み上がっているものはあります。

もちろん、転職すれば必ずうまくいくわけではありません。民間企業で求められる知識や技能もありますし、学歴を採用条件として見る企業も存在します。

それでも、「高卒だから最初から選択肢がない」と自分自身で結論を出してしまう必要はないと思います。

私が気になったのは、学歴による制度的な格差以上に、本人が自分の可能性を低く見積もり、選択肢を狭めてしまうことでした。

“格差”よりも、自分をどう評価するか

同じ職場で働いていても、将来の選択肢を広く考える人もいれば、「自分にはここしかない」と感じる人もいます。

その違いを、私は当時“温度差”のように感じていました。

ただ、それを本人の性格や意欲だけの問題にするのも違うでしょう。

安定した組織に長くいるほど、外の労働市場が見えにくくなることがあります。また、周囲に転職経験者が少なければ、「ここを辞めたらどうなるのか」という情報も得にくくなります。

公務員として働き続けること自体は、立派なキャリアです。

重要なのは、「他に選択肢がないから残る」のか、それとも仕事内容や生活、将来像を考えた上で「ここで働く」と自分で選んでいるのか、その違いだと思います。

学歴よりも「自分で選んだ」という実感を

私は、高卒か大卒かという区分だけで人の能力や将来を判断することには意味がないと思っています。

仕事を続けるにしても、転職するにしても、大切なのは自分の頭で考え、自分で選択したという実感を持てることです。

道庁で働き続けることを選ぶのであれば、それは安定にしがみついた結果ではなく、「この仕事を続けたい」と納得して選んだキャリアであってほしい。

逆に、別の道へ進みたいのであれば、「高卒だから」「公務員だから」と最初から可能性を閉じる必要もありません。

私自身も、道庁を辞めて民間へ転職したことで、「組織に残るか、外へ出るかは自分で決めてよい」と考えられるようになりました。

だからこそ、若い職員には学歴や肩書きだけで自分を小さく見積もらず、自分が納得できる人生を選んでほしいと思っています。

制度上の平等だけでは、人は自由にはなりません。

選択肢を知り、自分で選べること。私は、それこそがキャリアにおける本当の意味での自由なのだと思います。

以上、高卒道庁職員にみる“平等と格差”の実情についてお知らせいたしました。

何卒よろしくお願い申し上げます。

令和7(2025)年11月29日

※この記事は、元道庁職員としての個人的体験と見解に基づいています。
行政・公務員の世界に関心のある方の参考になれば幸いです。

【通知】北海道庁を辞めた経緯につきまして
追記(2026年9月) 本記事は2025年11月11日に、北海道庁を退職した経験を振り返って執筆したものです。実名での発信へ移行するにあたり、当時の問題意識を残しながら、個人や特定部署への不必要な断定を避け、現在の視点から一部表現を整理・加…

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