追記(2026年9月)
本記事は2026年3月8日に、当ブログへ寄せられた相談と、北海道庁勤務時代の経験をもとに執筆したものです。実名での発信へ移行するにあたり、メール・電話・FAX・チャットをどう使い分ければ業務を止めにくくできるかという実務論へ内容を整理しました。
関係者各位
いつも大変お世話になっております。
元道庁職員の白川部けいたでございます。
標記の件につきまして、下記のとおりお知らせいたします。
「メール送りました」の電話が来る
以前、当ブログに「メールを送った直後に、同じ内容を電話でも確認される」という趣旨の相談が届きました。
メールを送る。
その直後に「今メールを送りましたので、ご確認ください」と電話が来る。
案件によっては、その後さらにFAXが送られ、「FAXも送りました」と再び電話が来る。
程度の差はあっても、似たような経験をしたことがある方は少なくないのではないでしょうか。
私が北海道庁で勤務していた頃にも、メール、電話、FAXが並行して使われていました。
在職中には一人一台の公用スマートフォンが配付され、庁内チャットとして「DoCHAT」も導入されました。私自身、その導入初期を経験しています。
新しい連絡手段は確実に増えました。それでも、従来の電話がすぐに消えたわけではありません。
ICTツールを導入することと、組織のコミュニケーション文化が変わることは、同じではないのだと思います。
なぜ同じ連絡を何度もするのか
メールの後に電話をする行為を、単純に「時代遅れ」と切り捨てるのは簡単です。
しかし、現場で仕事をしていると、そこには一定の合理性もあります。
締切が近い。
相手がメールを見るか分からない。
内容が重要で、認識違いが起きると影響が大きい。
確実に受け取ったことを確認したい。
こうした場面では、メールを送るだけよりも、電話で一言確認した方が安全なことがあります。
問題は、その方法が案件の重要度にかかわらず「いつもの手順」として固定化されることです。
一件だけなら数十秒の電話でも、組織全体で毎日繰り返されれば大きな時間になります。
つまり、「メールの後に電話すること」自体が悪いのではなく、必要性を考えずにすべての案件で同じ連絡を重ねることが、業務効率を下げるのだと思います。
ツールが増えても、文化はすぐには変わらない
電話文化について語るとき、「年配の職員が電話やFAXに慣れているから」という説明がされることがあります。
確かに、固定電話や紙文書を中心に働いてきた世代と、チャットやスマートフォンに慣れた世代では、使いやすいと感じる手段に違いはあるでしょう。
ただ、私は世代だけの問題ではないと思っています。
若い職員であっても、その職場で「重要な連絡は電話でも確認する」「FAXを送ったら電話する」という仕事の進め方を教われば、それが標準になります。
組織には、「この方法なら確実だ」という業務上の安心感が蓄積されています。
新しいチャットツールを導入しても、旧来の手段をやめるルールまで決めなければ、単純に連絡手段が一つ増えるだけです。
メールも使う。電話も使う。FAXも使う。さらにチャットも使う。
デジタル化によって仕事が減るどころか、連絡経路だけが増えてしまう。これは、行政DXを考える上でも注意すべき点だと思います。
電話確認が必要な場面、不要な場面
では、電話はなくした方がよいのでしょうか。
私はそうは思いません。
メール、電話、FAX、チャットには、それぞれ向いている場面があります。
例えば、記録を残したい内容や、資料を添付して正確に共有したい案件はメールが向いています。
今日中の判断が必要で、相手がメールを確認しているか分からないなら電話が有効です。
短いやり取りや簡単な確認なら、チャットの方が速い場合があります。
相手方の業務環境上、FAXでなければ処理しにくい場合もあるでしょう。
重要なのは、「メールを送ったら必ず電話する」と決めることではなく、案件の性質に応じて最も適した手段を選ぶことです。
私自身が現在なら電話確認を考えるのは、たとえば「当日中に処理が必要」「相手の対応が止まると影響が大きい」「文章だけでは誤解が生じそう」「一定時間返答がなく、進行に支障が出る」といった場面です。
逆に、単なる参考共有や、期限に余裕がある案件まで電話で重ねて確認する必要はないと思います。
個人でもできる実務的な対処
組織全体の文化をすぐに変えることは難しくても、自分の連絡方法を少し工夫することはできます。
まず、メールの件名で「相手に何をしてほしいか」をできるだけ明確にします。
例えば、
【回答依頼・3月10日まで】
【共有・返信不要】
【至急確認】
など、件名だけで用件の性質が分かれば、受け手は優先順位を判断しやすくなります。
次に、単なる共有であれば「返信不要」と書くのも有効です。
情報を共有しただけなのに、「承知しました」「確認しました」という返信が何通も往復すれば、それもまた小さな時間コストになります。
電話をする場合も、メールを基準資料にすると効率的です。
「先ほど送ったメールの2点目だけ確認したいのですが」と伝えれば、最初からすべてを説明し直す必要はありません。
また、電話対応が多い職場では、両手が使えるイヤホンや、スマートフォンを見やすい位置に置くスタンドなど、作業を止めにくくする道具が役立つこともあります。
ただし、道具はあくまで補助です。根本的には「どの連絡手段を、どんな場面で使うのか」を整理する方が重要です。
文化を変えるなら「連絡手段の使い分け」から
メール、電話、FAX、チャット。
どの手段が優れているかを決めることが目的ではありません。
記録を残したいならメール。
急ぎなら電話。
短いやり取りならチャット。
紙でしか処理できない相手ならFAX。
それぞれに役割があります。
問題は、一つの連絡を、理由もなくすべての手段で繰り返すことです。
新しいツールを導入するだけでは、仕事の効率は上がりません。
「どの場面で、何を使うのか」まで整理して初めて、コミュニケーションの改善になります。
文化は一日では変わりません。
しかし、「メールしたから電話する」ではなく、「この案件には電話が必要だから電話する」と、一つひとつの行動に理由を持たせることはできます。
メール送付後の電話確認文化を完全になくすことより、必要な確認と不要な重複を分けること。
現場でできる業務改善は、そうした小さな整理から始まるのだと思います。
以上、メール送付後の電話確認文化への実務的対処についてお知らせいたしました。
何卒よろしくお願い申し上げます。
令和8(2026)年3月8日
この記事は、元道庁職員としての個人的体験と見解に基づいています。
行政・公務員の世界に関心のある方の参考になれば幸いです。





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