公務員について語られる言葉の多くは、極端です。
楽でいいよな
何も考えていない
安定していて羨ましい
などなど…
元職員として言わせてもらうと、
それらは半分だけ当たっていて、半分は完全な誤解です。
本稿では、内部にいた人間だからこそ分かる「よくある誤解」を、感情論ではなく実感ベースで整理してみます。
公務員批判が目的ではありませんし、かといって擁護でもありません。
あくまで、これから進路を考える人の“判断材料”になればという雑感です。
「公務員は楽」という誤解
まず一番多いのが、「公務員は楽」という見方です。
これは、部分的には事実です。
確かに、比較的業務量が少なく、定時で帰れる部署は存在します。
ただし、それは組織全体の話ではありません。
実態としては、
- 忙しさの波が極端
- 繁忙期と閑散期の差が激しい
- 部署によって天国と地獄がはっきり分かれる
という世界です。
特に問題なのは、精神的な負荷の高さです。
公務員は「利益を考えなくていいから楽」と言われがちですが、これは大きな誤解です。
代わりに課されるのは、
- 絶対に間違えてはいけない
- 前例から外れてはいけない
- 取り敢えず謝ってはいけない
という、強烈な緊張感です。
一度のミスが、
- 議会
- 監査
- マスコミによる偏向報道
に直結する可能性がある職場で、常に無難を求められる。
その結果、メンタルを病んだことによる休職者は決して少なくありません。
「楽=単純」という発想は、現場を見ていない人のものです。
「公務員は何も考えていない」という誤解
次に多いのが、
「役所の人間は何も考えていない」という批判です。
これも、半分は間違いで、半分は当たっています。
正確に言えば、考えてはいるが、決められないのです。
- 判断材料が揃わない
- 権限が遠い
- 決定権は何階層も上
こうした状況の中で、現場の職員は延々と「検討」をします。
しかし、考えれば考えるほど、
- 制度上グレー
- 前例がない
- 責任の所在が曖昧
という壁にぶつかる。
そのうち、考えること自体が苦しくなります。
そして最終的に行き着くのが、思考停止です。
重要なのは、
これは「最初から何も考えていない」のではなく、「考えた末の結果として、考えなくなる」という点です。
多くの職員は、40代になる頃には
「どうせ変わらない」
「余計なことを言わない方が得」
という境地に達します。
これは個人個人の知的怠慢ではありますが、それ以前に環境が作る帰結です。
「安定しているから羨ましい」という誤解
公務員は安定している
これは一面では事実です。
生活は安定しています。
給料は急に下がらないし、職を失う可能性も低い。
しかし、精神は決して安定していません。
- 異動ガチャ
- 専門性が積みにくい
- キャリアの見通しが立たない
- 3〜4年ごとに環境が変わり、積み上げたものがリセットされる
さらに外に出れば、
- 偉そう
- 税金泥棒
- 大した能力もない
と平気で言われる。
内部では評価されず、外では軽蔑される。
この状態で「羨ましい」と言われても、正直なところ複雑です。
安定とは、逃げ場がないという意味でもあります。
それでも誤解され続ける理由
では、なぜこうした誤解は解消されないのか。
理由は単純です。
- 説明する余裕がない
- 広報が弱い
- 内向き文化が強い
組織内部では、
「民間より待遇は良いんだから我慢しろ」
という空気が蔓延します。
※私としてはこの時点で民間を馬鹿にしているとんでもない価値観だと思うわけですが…
その結果、
- 外に説明しないし、する気もない
- 誤解を訂正しない
- 内輪で正当化して、外部を冷笑する
という悪循環が生まれます。
言葉が外に届かないまま、誤解だけが固定化する。
それが今の状況です。
それでも書き続ける理由
それでも、私がこうして書き続ける理由は明確です。
誰かの判断材料になればいい
それだけです。
内部を攻撃したいわけでも、個人を貶めたいわけでもありません。
構造を知ってほしい。
現実をフラットに見てほしい。
そしてもう一つ。
「行政職道庁職員」という、社会的には無価値に等しいキャリアでも、普通に転職し、生活し、休日にブログを書く程度の余裕は持てる
その一例を示したいのです。
- 公務員になるかどうか
- 辞めるかどうか
それは人それぞれです。
ただ、誤解の上に判断してほしくない。
それが、元職員としての最低限の責任だと思っています。





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