【通知】庁内メール文化の不思議な作法につきまして

公務員

関係者各位

いつも大変お世話になっております。
元道庁職員鈴木邪道でございます。
標記の件につきまして、下記のとおりお知らせいたします。

庁内でのメール文化について

これは北海道庁に限らず、企業であろうが霞が関であろうが大きい組織あるあるなのかもしれませんが、
道庁におけるメールは、連絡手段というより「行為そのもの」が目的化していると感じる場面が多々ありました。

本来、メールとは
「必要な情報を、必要な相手に、必要な分だけ伝える」
ためのツールであるはずです。

しかし実際の庁内メールは、

  • 誰かに送らなければ不安
  • とりあえず全員に入れておけば安全
  • 書いてある“体”があれば仕事をしたことになる

という思考に支配されており、
業務効率を上げるどころか、確実に時間を奪う存在になっていました。

庁舎の掲示物問題と通じるところがあります。

今回は、そんな道庁内の不思議なメール文化について書いていきます。

庁内メールの特徴

回覧文書の「通知」メール

まず代表例が、
回覧文書が回ることを知らせるためだけのメールです。

  • 〇〇について回覧しておりますのでご確認ください
  • すでに紙で回っている内容の要約なし通知

紙で回り、さらにメールでも通知し、
場合によっては口頭でも「回ってます」と言われます。三重連絡です。

もはや「見てほしい」のではなく、
「送ったという事実」を残すためのメールに近いものがあります。

CCが異常に多く、席次順に異様にこだわる

庁内メールのCCは、とにかく多いです。

  • 誰がどこまで関係者なのか分からない
  • 内容と無関係な管理職がずらりと並ぶ
  • しかも並び順が微妙に上下関係を反映している

CCの順番を間違えると、

  • 「なんであの人が先なの?」
  • 「この並びは失礼では?」

という謎の指摘が入ります。

情報共有ではなく、
人間関係と序列確認の儀式になっています。

 件名だけで用件が完結しがち

  • 【周知】〇〇について
  • 【照会】〇〇の件

のように、件名で全てが完結しており、
本文を開くと、

標記の件につきまして、ご承知おきください。

だけ、というメールも珍しくありません。

読む側としては、何をどうすればいいのか分からない

しかし送った側は、「メールは送った」という実績だけが残ります。

なお、お気づきの方もいるかと思いますが、当ブログのタイトル体裁は敢えて北海道庁内部で回っているメールの件名をオマージュしたものとなっています。
SEO的には死んでいるかもしれませんが、今後も可能な限り、続けていきたいと思います。

本文は妙にかしこまっていて中身がない

庁内メールの本文は、驚くほど丁寧です。

  • 枕詞が長い
  • 同じ意味の表現が繰り返される
  • 結局、要点が見えない

例えば、

標記の件につきまして、
下記のとおり対応させていただきたく存じますので、
ご確認のほどよろしくお願い申し上げます。

……で、結局「何をしたいのか」は書いていません。

  • 丁寧=安全
  • 簡潔=リスク

という価値観が染みついているためです。

決裁より「メール文言調整」の方が長いこともある

特に象徴的なのが、
メール文言の決裁・調整に異様な時間がかかることです。

  • この表現は強すぎるのでは
  • もう少し柔らかく
  • “お願い”ではなく“ご連絡”に
  • “至急”は外した方が良い
  • “致します”じゃなくて“いたします”ね(これはまあ良いか…)

結果、中身が変わらないメールに半日以上かかることもあります。

本来時間をかけるべきは中身のはずですが、実際には「波風を立てない文章」を作る作業に全力が注がれます。

“メール送った=仕事した”とみなされる文化

道庁では、
メールを送ること自体が仕事の成果として扱われがちです。

  • 周知メールを出した
  • 照会メールを回した
  • とりあえず全員に共有した

これで「やることはやった」扱いになります。

しかし実態は、

  • 読まれていない
  • 内容が理解されていない
  • 行動につながっていない

スパムのような周知メール、答えが出ない照会メールが日々量産されていきます。

ミスを恐れる文化が作り出す過剰な丁寧さ

「念のため」「念のため」「念のため」

庁内メールで頻出する言葉が「念のため」です。

  • 念のため共有
  • 念のため確認
  • 念のためCC

この「念のため」が積み重なり、メールはどんどん長く、重くなります。

会議資料を作るための会議を行うこととも通じています。

文章が異常に長くなる理由

文章が長くなる最大の理由は、
責任回避のための保険表現です。

  • 誤解されたくない
  • 後で責められたくない
  • 「書いてなかったから対応してないよ」と言われたくない

その結果、

  • 前提説明
  • 想定外対応
  • 注意書き
  • 免責文言

が延々と追加されます。読み手の時間は完全に無視されます。

返信に気を遣いすぎて生産性が死亡する

返信メールも同様です。

  • 即レスすると暇だと思われて仕事を押し付けられそう
  • 遅すぎると怒られそう
  • CC全員に返すべきか悩む

考えているうちに時間が過ぎ、結局、無難で中身のない返信が送られます。

こうして
メールを読む → 考える → 返す
というだけで、1日のかなりの時間が消えていきます。

メールこそが「道庁の時間泥棒」

道庁のメール文化は、

  • 情報伝達のためではなく
  • 仕事をした“形”を作るための装置

になっています。

結果として、

  • 誰も読まない
  • 誰も動かない
  • でも大量に時間だけが奪われる

メールこそが、
道庁における最大級の時間泥棒だと感じていました。

以上、庁内メール文化についてお知らせいたしました。
何卒よろしくお願い申し上げます。

令和7(2025)年12月17日

北海道庁生存戦略部
異端企画局
内部是正推進課非公式記録整理係
主事 鈴木邪道

コメント

タイトルとURLをコピーしました