【観察記録】公務員の昼休みの沈黙につきまして

行政組織・公務員

追記(2026年9月)

本記事は2025年11月20日に、北海道庁勤務時代の昼休みを振り返って執筆したものです。実名での発信へ移行するにあたり、当時の印象や問題意識を残しつつ、特定の個人・職種への不必要な言及を削り、現在の視点から一部表現を整理しています。

関係者各位

いつも大変お世話になっております。
元道庁職員の白川部けいたでございます。

標記の件につきまして、下記のとおりお知らせいたします。

昼休みという名の「静かな時間」

北海道庁で働いていた数年間、私がずっと違和感を覚えていた光景があります。

それが、昼休みの独特な静けさです。

大学の昼休みのように笑い声が響くわけでもなく、民間企業の休憩スペースのように雑談が飛び交うわけでもない。多くの職員が自席に座り、弁当を食べながらスマートフォンを見たり、新聞を読んだり、目を閉じたりしていました。

入庁したばかりの頃は、「職場の人間関係が悪いのだろうか」と思ったこともあります。しかし、しばらく働いてみると、そう単純な話ではないと分かってきました。

互いに嫌っているというより、昼休みくらいは相手に深入りせず、それぞれが自分の時間を守ろうとしていた。言い換えれば、仕事中の緊張から少しだけ離れるための、静かな休戦時間だったのだと思います。

弁当とセイコーマートが支える昼休み

私が勤務していた職場では、昼食を自席で取る職員が多くいました。

本庁には食堂もありますが、毎日外食する職員ばかりではありません。若手職員や子育て世代など、昼食代を抑えたい人も少なくありませんでした。

私自身も、セイコーマートで買った惣菜に白米とインスタント味噌汁を組み合わせるような昼食(120円程度)をよく食べていました。

管理職が新聞を読み、若手職員がスマートフォンを見ながら黙々と食事をする。時折、誰かが味噌汁をすする音が聞こえるくらいで、驚くほど静かな時間でした。

今振り返ると、あの静けさは単に職場が暗かったからではありません。午前中の仕事をいったん止め、午後に備えて頭を休ませるために、皆それぞれの方法で距離を取っていたのだと思います。

「喋ると目立つ」空気

一方で、静かな職場だからこそ、誰かが話し始めると会話がよく通ります。

ちょっとした雑談でも、周囲に聞かれていることを意識せざるを得ません。

特に業務に関する話は、誰がどこまで知っているのか分からない。そのため、自然と昼休みに仕事の話を避けるようになります。

こうして、静かだから話さない。話さないから、さらに静かになる。そんな循環が生まれていたように感じます。

私自身も入庁してしばらくすると、その空気にすっかり馴染んでいました。

話題にするとしても天気や昼食の話程度。それ以上の話をするなら、執務室の外に出た方が気楽だと感じることもありました。

議会中には「休憩」が細切れになる

もう一つ、昼休みについて強く印象に残っているのが、議会対応の時期です。

議会開会中は、昼休みであっても電話や照会対応が続き、予定どおりに休めない日がありました。

食事を急いで済ませ、そのまま回答作成や連絡調整に戻る。昼食の時間そのものが短くなることも珍しくありませんでした。

もちろん、行政には突発的な対応が必要な場面があります。議会対応も職務の一部ですから、忙しい時期があること自体を問題にしたいわけではありません。

ただ、勤務時間上は休憩として設定されている時間が、業務の都合によって細切れになったり、実質的に取れなくなったりしても、それが当たり前として処理される空気には疑問が残りました。

働き方改革というと、残業時間やテレワークに目が向きがちです。しかし、昼休みに本当に仕事から離れられているのかという、ごく基本的な部分も職場環境を考える上では重要だと思います。

狸寝入りも一つの休み方だった

私自身、入庁1年目の途中から、昼休みには机で目を閉じて過ごすことが多くなりました。

本当に眠っていることもあれば、単に目を閉じているだけのこともありました。

少しでも頭を休ませたい。昼休みくらいは誰にも話しかけられずに過ごしたい。

そんな気持ちだったのだと思います。

周囲にも同じように、昼休みになると目を閉じたり、一人で静かに過ごしたりする職員はいました。

当時はそれを「狸寝入り」と冗談めかして考えていましたが、今思えば、限られた時間の中で自分なりに仕事との距離を取る方法だったのでしょう。

沈黙は優しさか、諦めか

今振り返ると、あの昼休みの静寂を単純に「冷たい職場だった」と片付けるのは違うと思っています。

互いに必要以上に干渉しないことは、一つの配慮でもあります。

忙しい午前中を終えた職員同士が、昼休みだけはそっとしておこうとする。そうした優しさも、確かにあったのでしょう。

一方で、雑談すら目立つほどの静けさは、職場に余裕がないことの表れでもありました。

誰かと話すより、一人でスマートフォンを見たり、目を閉じたりする方が楽。そう感じる人が多い職場では、日常的な対話も少なくなります。

私は、行政組織を変えるために必要なのは大きな制度改革だけではないと思っています。

職員同士が気軽に話せること、昼休みにきちんと仕事から離れられること、困った時に声をかけられること。そうした小さな余裕の積み重ねも、組織文化をつくります。

あの静かな昼休みは、当時の北海道庁で働いていた私にとって、職場の空気を最も分かりやすく映していた光景の一つでした。

以上、公務員の昼休みの沈黙についてお知らせいたしました。

何卒よろしくお願い申し上げます。

令和7(2025)年11月20日

※この記事は、元道庁職員としての個人的体験と見解に基づいています。
行政・公務員の世界に関心のある方の参考になれば幸いです。

【通知】北海道庁を辞めた経緯につきまして
追記(2026年9月) 本記事は2025年11月11日に、北海道庁を退職した経験を振り返って執筆したものです。実名での発信へ移行するにあたり、当時の問題意識を残しながら、個人や特定部署への不必要な断定を避け、現在の視点から一部表現を整理・加…

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