関係者各位
いつも大変お世話になっております。
元道庁職員の鈴木邪道でございます。
標記の件につきまして、下記のとおりお知らせいたします。
なぜ道庁の会議室は“極端な気温”なのか
北海道庁の会議室という場所は、外の気候とは関係なく“季節感が迷子”になっています。
夏は「冷蔵庫か?」というレベルで冷え、冬は「サウナか?」というほど暑い。
そして、その温度設定を握っているのは――
地下1階の「中央指令室(守衛室)」ただ一つ。
12階建ての巨大庁舎の空調を、なぜか地下で一括管理。
つまり、職員に温度調整の権限は一切ないという構造です。
私が在庁中、何度聞いたか分からないセリフがあります。

冷房つけたいけど、今日は中央指令室が“まだ気温28℃以上じゃない”って判断だから無理。
この時点でツッコミたい。
庁内の部屋はそれぞれ構造も陽当たりも違うのに、なぜ“全館一律”?
しかし、これが「省エネと昭和仕様の空調システム」の合わせ技で成立してしまっているのです。
会議室:開始5分で“別の季節”になる場所
夏の会議室:蒸し風呂 → 南極
会議前は廊下が蒸し風呂のように暑い。
上司の呼び出しや資料準備で走り回り、汗だくになりながら席につく。
そして会議開始から5分後――
汗が一気に引いて、急激に寒くなる。
私は一度、資料を取りに行くふりをして課に戻り、そっと上着を羽織って会議室に戻ったことがあります。
戻った瞬間に同僚から言われました。

あ、邪道さん、上着着て戻ってきた。
これが“道庁会議室あるある”です。
冬の会議室:暑くて集中力が奪われる
冬は暖房が効きすぎて、10分ほどすると頭がぼーっとしてきます。
二酸化炭素が逃げない構造のせいで、空気が籠もるのも地味な地獄です。
さすがに会議前でも「息が白くなるほど」ほど寒くはなかったですが、寒暖差で集中力が削られることはよくありました。
温度調整は不可能。
文句を言っても、中央指令室の判断が絶対です。
空調のカオスを象徴する「会議室という名の物置部屋」
道庁には“会議室っぽい部屋”が無数にありますが、その多くは、もともと会議室として設計されたスペースではありません。
組織改編で空いた部屋を流用したもの、物置と会議室が兼用されているものなど、間取りも空調も統一されていない寄せ集め構造です。
12階建ての庁舎に3,000人近くの職員がいるのに、 空調は「ワンオペ管理」。
これだけで、すでにカオスの匂いがします。
この3,000人が働く北海道庁本庁舎ですが、昼休みは廃墟かと思うほど静まりかえります。そのことについて書いた記事もあるのでぜひご一読ください。
職員の“自衛手段”:USB扇風機から個人ハロゲンまで
温度調整が出来ないなら、自前でなんとかするしかない。
そこで登場するのが職員たちの“個人装備”です。
- USBハンディファンをPCに接続して常時稼働
- 足元に小型ハロゲンヒーター
- 団扇(生保レディからもらったものが多い)
- ひざ掛け(男女共通)
そしてある課では、各職員がハロゲンヒーターを使いすぎてブレーカーが落ちた
という噂もありました。
外部の来庁者がよく言います。

道庁って暑いですね。
しかし職員はもう慣れ切っているので、半分笑いながら

まあ、そうですね
と答えるだけです。
「暑くても寒くても我慢」文化
空調が昭和仕様なのは仕方ないとして、
問題は「改善しよう」という声が上がらないことです。
会議室が寒くても誰も動かない。
暑くても誰も動かない。
上司の一言はだいたいこうです。

バケツに水汲んできて足突っ込んで仕事するか!
いや、それはやらないけれども…。
温度の話題は出ても、誰も本気で改善しようとは考えない。
理由は簡単。
“どうせ変わらない”と全員が諦めているから。
空調ひとつ変えられない組織が、 他の問題を変えられるはずがない。
これが、私が痛感した核心です。
象徴としての空調:ここに“道庁の限界”が詰まっている
私が最も象徴的だと感じたのは、
3000人の職員を抱える庁舎の温度を、地下1階で一律管理している
という事実です。
これは“省エネ”ではありません。
これはもはや、
「地域の実情に合わせた政策なんて端から作る気がない」
という悪平等主義の縮図です。
空調の一括管理=全体を一律に扱うという姿勢が、そのまま道庁の仕事のやり方と重なるのです。
- 個別最適より全体最適
- 現場の声よりルール優先
- 地域ごとの政策のムラより誰にも刺さらない均一化
- 実情より「前例踏襲」
空調という一見どうでもいい話題に、 道庁の“変わらなさ”が凝縮されているのです。
空調という一見どうでもいい話題に、 道庁の“変わらなさ”が凝縮されているのです。
道庁の空調は変わらない。しかし「空気」だけは読む組織である
道庁の空調は、今後も変わらないでしょう。
中央指令室は相変わらず地下1階に鎮座し、庁舎中の会議室は今日も「暑すぎ」か「寒すぎ」です。
しかし、その一方で――
道庁という組織は、空調より“空気”だけは異様に読む。
誰も温度を変えられない会議室で、逆に誰もが「空気を乱さないように」振る舞っている。
これこそが、道庁の変わらなさを象徴しています。
以上、北海道庁の会議室の空調が終わっていることについてお知らせいたしました。
何卒よろしくお願い申し上げます。
令和7(2025)年12月5日
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北海道庁生存戦略部
異端企画局
内部是正推進課非公式記録整理係
主事 鈴木邪道
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