【考察】高卒道庁職員にみる“平等と格差”の実情につきまして

公務員転職

関係者各位

いつも大変お世話になっております。
元道庁職員鈴木邪道でございます。
標記の件につきまして、下記のとおりお知らせいたします。

「高卒=不利」という幻想

世間一般では「高卒公務員=出世できない」「給料が安い」と思われがちです。
しかし、北海道庁においてはこの認識はまったくの誤りでございます。
昇給スピードも手当も大卒とほぼ同じで、むしろ民間が薄給な北海道においては、高卒で安定収入を得られる数少ない“勝ち組ルート”とすら言えます。
ただし、それはあくまで制度上の話です。
実際に職場で彼らと接して感じたのは、“見えない線が確かに存在しているということでした。

配属の現場で見た“高卒世代”のリアル

本庁では30代後半~50代のベテラン職員が多く、若い高卒職員は少ないのが現状です。
彼らの主戦場は地方の振興局、つまり”現場”です。
私が□□振興局□□課にいた頃、周囲には20歳前後の高卒職員が何人かいました。
彼らは総じて真面目で素直です。
上司に言われたことを黙々とこなすタイプが多く、仕事の正確さも申し分ありません。
ただし、良くも悪くも“真面目すぎる”のです。
判断や融通を求められる場面で固まってしまう瞬間を、何度も目にしました。
またm趣味の話題になると高校の延長線のようで、ゲーム・アニメ・部活トーク。
どこかまだ、社会人としての厚みが入りきっていないように感じることもありました。まあ、これは大卒職員も変わらないかもしれないですね。

「学歴がないから転職できない」と言う彼らへ

私が転職を決意したとき、数人の高卒職員と話す機会がありました。

彼らは口をそろえてこう言いました。
「自分たちは高卒だから、民間に行ったら通用しないっすよ。」
この言葉を聞いたとき、胸が痛みました。
彼らは誰よりも真面目に働き、与えられた仕事を丁寧にこなします。
しかし、その“真面目さ”こそが、彼らの行動範囲を狭めてしまっているのです。
「高卒だから無理」
そう信じ込んでしまうのは、社会がそう教えたというよりも、職場の空気がそう仕向けているのだと思います。
道庁という巨大組織は、本人の自信や成長意欲を、いつの間にか“安定”という名の殻で覆ってしまうのです。

格差ではなく“温度差”

私は高卒職員を見下したことはありません。
むしろ、彼らの素直さと地道さには学ぶべきものが多くあります
一方で「もったいない」と感じる場面も多々ありました。
人生を選び取るのは本人ですが、自分の可能性を“学歴”で縛るのは違うと感じました。
同じ職場で、同じ給料で、同じ仕事をしているのに、心の中で“自分は下”と線を引き、
勝手に劣等感を育ててしまう…。
その卑屈さこそが、彼らの成長を止めてしまう“温度差”の正体だと思います。
これは差別ではなく、自分自身への過小評価が作り出す“精神的な壁”にほかなりません。

誇りを持てる「選択」を

高卒でも、大卒でも関係ありません。
問題は「自分の頭で考え、自分の足で立てているか」です。
制度的には、高卒職員は十分に報われています。
しかし、精神的な面ではまだ自由ではありません。
「自分は高卒だから」という枠組みの中に自ら閉じこもり、可能性や選択肢を狭めてしまう姿を見るたび、非常にもったいなく感じました。
道庁で働く・働き続けるという選択は、それ自体が立派なキャリアです。
ただし、その選択が“恐れから来る消極的な選択”であってはならないと思います。
必要なのは、学歴ではなく「自分で選び取った」という実感です。
そこに誇りが生まれて初めて、人は前に進むことができます。
いつか彼らが、自分の「選択」に胸を張り、安定ではなく“納得の人生”を歩む日が来ることを強く願っております。

以上、高卒道庁職員にみる“平等と格差”の実情についてお知らせいたしました。
何卒よろしくお願い申し上げます。

令和7(2025)年11月29日

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北海道庁生存戦略部  
異端企画局  
内部是正推進課非公式記録整理係  
主事 鈴木邪道
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